1175人のフィナーレをデザインする

2017年7月22日(土) 信濃毎日新聞(共同)記事より

高齢者増加 人生の「最期」重視
増える「老衰死」死因5位に

特定できる病気がなく自然に亡くなる「老衰死」が増えている。2015年は約8万5千人で、05年から10年間で3倍になった。高齢者の増加が要因とされるが、背景には死因究明より、人生の最期を重視することで死を受け入れようとする本人や家族、医師の価値観の変化もあるようだ。

(中略)

長年地域の医療に従事してきた花戸医師は「残された人を納得させるのは、最期を共に過ごす中で語られた本人の言葉ではないか」と話す。在宅医療の普及で、人々の意識は、死の原因ではなく、最後に至るまでのいきた過程を重視する方向に変わってきたという。

厚生労働省の死亡診断書記入マニュアルでは、老衰は「高齢者で他に記載すべき死亡原因がない、いわゆる自然死」。人口動態調査によると、老衰死は診断技術の進歩にともない減っていたが、00年代から急増。05年の2万6千人から15年には8万5千人近くに増え、死因の7位から5位になった。

全国老人福祉施設協議会の12年度の調査によると、特別養護老人ホームでみとりをした人のうち、老衰で死亡した人は6割を超える。

在宅医療に詳しい東埼玉病院(埼玉県蓮田市)の今永光彦医師は「高齢者の増加の影響が大きいが、終末期のあり方に関する社会の意識の変化も関係しているのでは」と指摘。「在宅で世話をしてきた家族にとって、きちんとみとった証し、勲章のような意味を持つ場合がある」と話す。

(後略)
以上

日本人は毎年120万人以上が亡くなる多死社会です。そのうち自宅で最期を迎える方の割合は10%ほどで、多くは病院で迎えます。

自分の最期(フィナーレ)について、今では事前に色々な準備ができ知識も得ることができる環境にあります。また延命治療についての考え方も大きく変わってきています。自分のフィナーレを選択できる環境になったことが老衰が増えた原因の一つだと感じます。

日本では積極的な在宅介護・医療を推し進めています。超高齢社会の中、病院のベッド数が不足し始め、施設でも不足し在宅でケアすることが不可欠となっているからです。在宅介護・医療では専門家は常にそばにいることは不可能です。週に数回訪れる専門家とケアを実際にする方とのコミュニケーションがケアされる方のQOL(生活の質)を決めます。数分から数十分という貴重な時間に何を質問し、何を指導され、それらを実行し結果を報告する。専門家とのコミュニケーション能力もケアをする人には求められています。

もちろん、専門家のコミュニケーション能力は必須です。言葉だけでなく、心のスキルも必要です。相手が何を考え、何を感じ、どんな不安を抱えているか。常に相手の感情に寄り添って会話をしなければ在宅介護・医療の質は上がらないでしょう。とても大きな課題です。

薬剤師はもっと薬局から外に出て、在宅に関わるよう働き方を変えなければならない環境下です。現在の地域包括ケアシステムの図解資料の中には薬局が描かれているものは少ないです。これまでは薬剤師の地域医療への貢献度は低いものでした。今からはもっと顔を患者さんやその親族、医師や看護師、ケアマネージャー等とフェイストゥフェイスの付き合いを行わなければならないです。

在宅介護・医療に携わらなければならない医療人は、専門家としてのスキルは当然として、相手に寄り添ったり以降を汲み取ったり感じたりできる「人間力」が問われてきます。分厚い専門書を読むのも大切ですが、一人の人と直接接する機会を増やし人間力もつけていきましょう。

地域包括ケアシステムとは、人のフィナーレをデザインすることかもしれませんね。

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